第37回社会福祉士国家試験の割れ問の個人的なチェック、4/4です。問題120から問題124を見て行きます。
問題120。
事例を読んで、A町社会福祉協議会のB職員(社会福祉士)の総合的かつ包括的支援に基づく次の記述のうち、最初の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
A町では、大規模な工業団地が開発された結果、海外から来た労働者とその家族が増加傾向にある。街中を歩く外国人家族の姿が日常的となった。そのような中、民生委員から、Bに「慣れない文化に戸惑う外国籍家族の存在が顕著であることや、また一方で、在留外国人との交流を望んでいるものの、どのようにすればよいか困惑している地域住民の声が多く聞かれる」と情報提供があった。
2 在留外国人も加え、学校、自治会等がこの問題を共有化するための懇談の場を企画する。(他社)
5 外国籍住民と地域住民の交流の場を設け、広く参加を求める。(藤仁館)
事例の文章の中で「外国人家族」「外国籍家族」「在留外国人」という少しずつ違った表現が出てきており、この問題もひっかかるものがあります。自分も2と5でどっちかな?と思いましたが、異文化間の摩擦を「問題」と捉え、社協が参加者を決めて懇談の場を企画するというのは違うのではないか、相互理解のためにまずは交流が最優先ではないかと考えて5を選択しました。
問題123。
事例を読んで、Aがん拠点病院相談支援センターに勤務するB医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のこの時点での対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
大腸がんの治療後、定期受診中だったCさん(44歳、男性)はBのもとを訪れ「先日の受診で異常が指摘され、詳しい検査をしました。本日、がんの再発と転移が判明し、主治医から積極的な治療をするか、あるいは、緩和ケアに切り替えるかという2つの選択があることを伝えられました。今までなんとか乗り越えてきましたがもう限界です。家族になんて話したら良いか」と語った。
2 Bの過去の経験から、この先の見通しについて説明する。
3 カウンセリングを含め、心理的支援をすぐにでも受けることが可能であることを説明する。
4 病状について再度説明してもらうよう、主治医への連絡が可能であることを説明する。
兵庫社福会様は2・3、その他は3・4です。私は2・3を選びました。
病気について説明をするのは医師が行うことなのでそこに口を出すことはないですが、医師から説明を受けた上で困って相談に訪れたというシチュエーションなので、過去の経験ではこういったことがありましたということをお伝えすることは相手に寄り添った対応になるのでは?という考えです。4は相手から希望があれば行うべきですが、せっかくMSWのところに相談に来たのにまた同じ医師の説明を受けるように言われたととられる可能性はないのかな?と思います。
問題124。
事例を読んで、A特定非営利活動法人がこれから取り組むべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
A特定非営利活動法人は、B県C市において障害福祉事業を実施してきた。地域のニーズにさらに応えることができるよう規模を拡大し、組織を発展させていくため、関係者と協議してA特定非営利活動法人を解散し、社会福祉法人の設立を目指すこととなった。これまでのとおりC市に主たる事務所を置き、C市内でのみ事業を行っていく予定である。なお、C市は指定都市ではない。
1 社会福祉法人の議決機関となる評議員会を設置する。(他社)
5 社会福祉法人の設立のため、所管庁であるB県からの認可を受ける。(兵庫社福会)
法人の認可を受けるために評議員会を設置する必要があるのでは?という考えから私も1にしました。実際には書類1枚を提出して済む手続きではないので事前の相談が必要になり同時並行でいろいろなことが進んでいくのでしょうが、評議員会がない法人の認可は順番が違う気がします。
以上、4回にわたって割れ問を見てきましたが、社会福祉士として必要な知識及び技能について問う試験にしては専門家の意見が割れる問題が多いというのは問題じゃないかなーと思います。見解が分かれる問題でも1点は1点で、その1点で何百人・何千人という人が合格になったり不合格になったりします。名称独占資格で、もっていようがもっていまいが人生が大きく変わるということはないにしても時間をかけて準備してきた受験生に不満が残るような試験では資格を取ろうという人がいなくなってしまうのではないでしょうか。