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横浜に所用があり、神奈川労働局(厚生労働省の出先機関)の相談窓口の一つである横浜駅西口総合労働相談コーナーが近くにあることがわかりました。
そこで、4月1日付けの人財課発信の通知について見解を聞いておこうか、という程度の気持ちで立ち寄ってみました。
ウェブサイトの案内では
横浜駅西口総合労働相談コーナーは、平日の午後6時30分まで電話や窓口での相談に応じています。
労働局や労働基準監督署内ではなく、独立した相談コーナーですので、お気軽にご利用いただけます。
解雇、配置転換、賃下げ、パワハラ、いじめなど職場でのトラブルの解決を労働局がお手伝いします。
悩んでいるより相談しましょう。
とあったのですが、要件を伝え神奈川労働局として行政指導できないかと尋ねたところ、行政指導をして欲しいという相談であれば所管の労働基準監督署(つまり厚木労働基準監督署)でないとできない、ここで話を聞いて伝えることもできないとのことでした。
トラブルの解決のお手伝いできてないじゃん。
ということで相鉄線と小田急線を乗り継いで久しぶりに厚木労働基準監督署を訪れました。
なお、厚木労働基準監督署は本厚木駅南口にあったのが平成28年1月に北口に移転していました。
労働基準監督署の相談窓口で身分を明かし、来訪目的を告げ内容を説明したところ、窓口で対応した職員では力不足だったようで係長的な席に座っている上席の職員に代わりました。
同じ説明をもう一度繰り返しました。
結果的に、以下のような見解を得ることができました。
- 大和市役所の振替勤務命令の運用方法は振替勤務命令制度と休日出勤・代休付与の制度を混同しており、そのまま運用されると時間外勤務手当の不払いにつながるおそれがある
- 地方公務員法第58条第5項(労働基準法、労働安全衛生法、船員法及び船員災害防止活動の促進に関する法律の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定中第三項の規定により職員に関して適用されるものを適用する場合における職員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、地方公共団体の行う労働基準法別表第一第一号から第十号まで及び第十三号から第十五号までに掲げる事業に従事する職員の場合を除き、人事委員会又はその委任を受けた人事委員会の委員(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の長)が行うものとする。)により、一般職の地方公務員についての労働基準監督機関の職権は労働基準監督署にはなく行政指導もできない
- 4月1日付けの人財課通知は現業職の職員も除外されてはいないため、この通知に基づいた運用が行われたことにより現業職の職員に手当の不払いが発生した場合には、その不払いの被害を受けた職員からの相談があれば行政指導を行える可能性はある
- 実際の不払いが発生していない現時点では何も行わない
ということでした。
電話を一本かけることもできないそうです。
使用者が労働基準法の趣旨から逸脱したルールを一方的に定めていたとしても、実際の被害が発生しない限りは何もしないというのが現状の労働基準監督署の姿勢ということです。
地方公務員法第58条第5項があるので、本来適用されるべき労働基準法を完全に無視したルールや運用があったとしても、人事委員会がない地方公共団体では首長が自分自身に対して監督権限を行使するわけもありません(人事委員会があったとしてもその委員は首長が選んで議会が承認することになるので完全に独立していると言えるかどうかは疑問)。首長性善説ということでしょうか。
hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)の人事院年次報告書に諸外国の公務労使関係の概要というエントリーがありますが、公務員の労働基準監督機関の職権について企業と別の扱いをしているかどうかまでは記述がありませんでした。
例えば、包丁を振り回して無差別に通行人を殺傷しようとしている人がいるとします。
まず、誰も刺されていなければ「労働基準監督署」さんは何もせず傍観します。
もし、刺されたのがたまたま「現業職の地方公務員」という身分であれば「労働基準監督署」さんは犯人を取り押さえようとするかもしれません(実際に被害が出たのであれば)。
そういえば、相談の記録は残すと言っていました。
何年保存か知りませんが、保存年限が過ぎるまでどこかにしまわれてそのまま廃棄されるんだろうと思います。
これが今の労働基準監督署のリアルでした。
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