全体のまとめ

このブログで取り上げた裁判の要点をまとめました。
  • 原審事件名:未払割増賃金請求事件(横浜地裁平成25年(行ウ)第42号)
  • 控訴審事件名:未払割増賃金請求控訴事件(東京高裁平成26年(行コ)第215号)
  • 原告は現役の市職員(事務職)で本人訴訟、被告は大和市代表者市長大木哲
  • 平成25年3月に実施された抜き打ちの非常参集訓練(職員787名が対象)について、事後的な振替対応指示を違法と主張して提訴
  • 原告は時間外勤務手当11,532円と労基法に規定がある罰則的な付加金あわせて23,064円を請求しており、本請求が認められる場合、訓練参加職員532名分の時間外勤務手当(概算で約500万円)が追給される可能性があった
  • 賃金債権の時効は2年間、不法行為による損害賠償請求権の時効は3年間
  • 平成23年度から週休日の勤務は原則振替対応とされ、本来は事前に振替休日の指定も含め命令すべき(総務部長名の文書でも指示あり、後述)だが、大和市役所では振替休日の事後指定が常態化
  • 週休日の勤務を振替対応にできる要件は労働基準法に明文の規定はないものの、旧労働省の行政通達や過去の判例から「前日までに代わりとなる週休日を指定して」行うことが求められている
  • 市が総務部長名で発した文書でも、「振替勤務命令を行う際は必ず事前に振替休日となる日を指定し」としており、自らが定めたルールに違反している
  • 市が振替勤務命令と主張する根拠には「必要だったから」以上の説明はなく、実質は時間外勤務手当の削減が目的であったことは明らか
  • 市は“ワークライフバランス”のため職員の利益にもなると主張するも年間実労働時間は集計もしておらず、時間外勤務手当は3年で30%削減という目標を立て達成
  • 年次休暇を完全取得できれば振替勤務の方が実労働時間の削減になるが、実状は50%程度の取得率であり、単に年休が取りにくくなり手当がもらえなくなるだけ
  • 原告は非組合員、組合からの支援はなく公平委員会へ措置要求を行うも棄却
  • 平成25年(2013年)9月3日提訴、4回の口頭弁論の後、平成26年(2014年)4月24日判決言い渡し(原告の請求を棄却)
  • 平成26年(2014年)5月8日控訴、第1回口頭弁論は9月10日に行われ10月29日判決言い渡し、控訴棄却
  • 残念ながら、行政通達や過去の判例とは異なり、総務部長名の通知とも反する内容の「事後的な振替休日の指定でも振替勤務命令として有効」というのが高等裁判所までの判断
  • 上告するも棄却され、高裁判決が確定

0 件のコメント:

コメントを投稿